
▲高尾山山麓「もみじ広場」の紅葉(11月18日)
山の秋が、頂上からだんだん降りてきて、写真のように、高尾山のふもとのカエデはすっかり赤く色づいていました。ほかの木々も、赤・オレンジ・黄・緑とそれぞれの色で自らを装って、山の秋をみごとに演出しています。
この日、高尾山山頂のカエデの紅葉も見頃でした。高尾山は低山なので、ふもとと山頂で同時に紅葉を楽しむことができる時期があります。
木々の表情に接して、秋をたくさん感じることができればうれしい。
もみじ広場
高尾山清滝駅(山麓駅)前の広場。「もみじ広場」と呼ばれています。
その広場の象徴となっている大きなカエデの木も全体が紅葉です。
<画像クリックで拡大します>
高尾山不動院
清滝駅(山麓駅)の向かい側に高尾山不動院があります。高尾山薬王院の別院でしょう。
銅板葺き屋根の重厚な曲面がみごとで、背後は紅葉の広がりです。
屋根と紅葉が風景を分け合っています。
ジュウガツザクラ
もみじ広場にジュウガツザクラが咲いています。
もうおおかた散ってしまって、花は残りわずかですが、紅葉とサクラの取り合わせは不思議な気分です。
サクラの花は、広場のはなやぎを紅葉に引き継ぎながら散っているようにみえました。
ミヤマフユイチゴ
ミヤマフユイチゴ(バラ科)の赤い実が、歩く足もとにポツンと実っていて、あざやかに光っていました。6号路で。
他の山でよく見るフユイチゴとは葉の形などが異なります。
リンドウ
山頂近くの5号路にリンドウの花が咲いていました。
日がかげると花を閉じますので、朝早くはつぼみのままです。花は、時刻午後1時25分のおだやかな陽射しをうれしがっています。
花弁を慎み深く少し広げて、青紫色が、いま生まれたように、清くて美しい。
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▼みち案内
6号路琵琶滝コースと山頂の風景(2012年11月18日)。
清滝駅(山麓駅)前、もみじ広場
ケーブルカーの乗車待ちの最後尾を示すプラカードが広場の端まで来ていて、待ち時間60分の列がつづいています。
この写真の右端が「1号路・表参道コース」の登山道で、こちらも歩く人の列です。
この日この時間は、すでに昼の12時。
紅葉の季節の休日、高尾山は、とても「難易度」の高い山にかわります。人が多くて前に進むことができず、頂上に容易に到達することができないからです。
歩行の列・乗車の列・トイレの列・薬王院階段の列・店前の列と、多くの列で山の時間を費やしますが、高尾山は日の沈む側に山が連なっていて日暮れが早い。日没後の山は十分な注意が必要になります。
以下は、比較的歩きやすい「6号路・琵琶滝コース」の写真です。<画像クリックで拡大します>
清滝駅(山麓駅)駅舎
ふもとのケーブルカー清滝駅とリフト山麓駅の2駅の駅舎は、山をかたどって、特徴ある建物です(下山後に撮影した写真)。
「6号路・琵琶滝コース」の道は、この駅舎に向かって左側にあるアスファルト舗装路(車道)からはじまります。
6号路・琵琶滝コース
昼頃でしたので、この道は登山者もまばらです。
アスファルト舗装路を10分ほど歩くと「妙音橋」(写真)。この橋の先の白っぽい建物は東京高尾病院。
「妙音橋」を渡らずに左へ行きます。
錫杖の石柱
修験者の持つつえである錫杖(しゃくじょう)の形を模した石柱が立てられていて「高尾山琵琶瀧水行道場」と記されています。
琵琶滝水行道場とは、滝の水を浴びる修行指導ですが、初心者向けの指導があり、この日も、琵琶滝で水行(すいぎょう)が行われていました。
木の根の露出
木の根は、好んで露出したのでもなく、もちろん登山者の足をすくおうとして出ているのでもありません。土砂が雨で流されて根がむき出しになってしまったようで、ここにはもう落ち葉も堆積しないので根は隠れることができません。
自然と人間の行為とのきしみ合いのようなもの音が聴こえてきそうです。
前の沢
みちはここで「前の沢」の流れに同じ高さで接しています。
透明な水の流れに手をひたした感触が秋でした。
このあたりの黄葉は、もう少し先になりますね。
大山橋
「前の沢」に架かるこの小さな橋には、大山橋という表示があります。かつて存在した、高尾山から大山詣(おおやまもうで)へ向かう道に架けられていた橋の名称を残したのでしょう。
橋を渡って、今度は左に流れのささやきのような音を聞きながら進みます。
飛び石
山の清水が、ゆるやかな勾配を流れ下りてくる中を歩行します。
きれいな水で靴底の土を洗い流すようなふるまいに気が引けるのですが。
この流れは多摩川の原流の一つで、東京湾へ向かいます。
階段
6号路の「難所」でしょうか。整備された階段なので山の難所とはいえませんが、息が切れます。
すこし傷んでいる階段です。山みちもこの階段も、そこを歩いたすべての登山者の足跡を記憶しています。その記憶の重さの代償として、階段は削られ、はがれ落ちます。
お弁当を広げるよい場所
階段を上りきると尾根です。
ここから、5号路を経て1号路に合流し、山頂までは約10分。山頂までおだやかな坂道になっています。
この尾根は、樹林の間から遠方を望むことができ、さほど人の混雑もなく、昼食のお弁当を広げるにはよい場所です。
高尾山、山頂の混雑
午後2時の山頂。いつもながら、多くの人。
座って休憩する人。その横を押し流されるように歩く人。砂ぼこりも舞い上がります。
でも、よい天気。空の真ん中が雲のない青空です。
秋のやさしい光が、頂上にいる人たちを明るくつつんでいました。
高尾山山頂の紅葉
高尾山は、全山紅葉という山ではなく、要所に植栽されたカエデが紅く染まって登山者を迎えている山です。
多くの人がカメラを向けていたこの木は、人の感動の気持ちをよく知るように、色と形を披露していました。
すてきな秋です。
高尾山山頂の展望
軽い足取りで登ってきた山頂のこの高さの遠く広がる風景は、街と建物を一つひとつ認識することのできる、ほどほどの距離感の世界を楽しむことができて、向こうのほうで、横浜ランドマークタワーが、小さく背伸びをしている姿もほほえましい。
高尾ビジターセンター前
山頂の高尾ビジターセンター前の石段にも多く登山者が休んでいましたので、同じように私も腰を下ろして、空や光や人や樹木や葉っぱをとびとびにしばらく見ていました。
青空と紅葉が、私をひそかに感心させよろこばせているのですから、そのもとで、こうしてじっとしていることは、山のひとときの私の幸福です。